著
杉本 亜未
少年は何ものにも従わず、軽やかに己の道を歩む。
マジシャンとして天性の才能を持ちながら、何ものにも縛られることなく自由に生きる少年・長見良。マジシャンだった祖父・龍五郎に憧れて育ったサラリーマン・北條。龍五郎が生前にとった唯一の弟子だった良と北條の出会いによって、周囲の人々が少しずつ何かに気づき、少しずつ変化していく。その変化は次第に大きなうねりとなって広がり「奇跡」を起こすーー。
セキュリティー会社に勤務する北條は仕事で訪れたカジノで、ある少年の天才的なカードさばきを目撃する。その少年の名は長見良。他界した祖父・龍五郎の唯一の弟子だった。「他人の人生まで変える力がある」ーー良のマジックの才能に惚れ込んだ北條は、良とマジックという奇跡の世界へ歩むことを決めた。
マジシャンだった英明の祖父唯一の弟子。中学生でマジックの腕前は天才。難読症を抱えいじめられてきたことで、世間を冷めた目で見ている部分がある
良の才能を見抜き、彼と暮らしマジシャンとして育てることを決意。異動先で会社のキャラクター・ソシオちゃんを盛り上げるほど快活な性格
英明の祖父。キャバレーでマジシャンをしていて、その腕前に英明が憧れていた。良は唯一の弟子。息子の尚樹から絶縁され、孤独死した
芸能プロダクション・クロスプロのシニアマネージャー。通称・ガンテツ。良をスカウトした境を差し置いて、彼の才能に惚れて自分がマネージャーに
良が転入した中学の友達。学校ではいじめられていたので不登校気味だったが、同じく孤立した良と仲良くなる
良の学校の同級生で優等生。テレビに出るようになった良へ嫉妬心がむき出しになるが、裏カジノの一件で彼と和解する
難読症の良の補習をする通級指導教室の先生。勉強に挫折しそうになる彼を熱心に優しく指導する
良を指導する言語聴覚士(ST)。自分は優秀で人を意のままに操れると思い込んでいたが、良との出会いで自分の未熟さに気づく
良の父親。金属加工工場を営む。最初は良のマジックの腕を疑っていたが、優子や英明の説得により応援するように
良の母親。良が難読症と知り、絶望したが、英明がマジックの腕を認めたことで、彼の才能に希望を持つ
週刊ゲンザイの記者。最初は良のゴシップを狙っていたが、彼の才能に心奪われ、ピンチのときに助けてくれる
マジックショップのオーナー。英明が昔から知っていた店で、良へも的確なアドバイスをくれる
日本を拠点としたエンターテインメント集団・K.O.Mの社長。良をスカウトするが断られ、憤慨する
K.O.Mのメンバーだったが、社長のやり方が合わず辞めることに。地道にマジシャンとしての経験を重ね、世界大会に出るため修行中
良が主役のテレビ番組「ハッピーモスト」で共演したタレント。落ち目だったが、番組出演後、憧れていたアクション俳優に近い仕事が舞い込む
落ち目の中堅俳優。「ハッピーモスト」出演後、俳優を続けながら、マジックバーで、以前から興味があったマジックを披露している
「ハッピーモスト」で良と共演したタレント。自分以外の親族がエリートで劣等感があったが母親の疑惑を知り、自信を持つ
クロスプロの社長。売れなくなった所属タレントを容赦なくクビにしたり、売れるために弱点をわざと流布するなど卑怯な手を使う
往年のマジシャン。良とマジック対決をすることになる。彼の人気に嫉妬し、字が読めないことを嗅ぎつけ、罠を仕掛けるが…
クロスプロのマネージャー。良をスカウトするが岩田が担当になったことを密かに嫉妬している
通称・ドクター。裏カジノの管理人。血迷った五十嵐を助けるために裏カジノに潜入した良を気に入り、裏の世界へ引き込もうとした
テレビ局・NBNのプロデューサー。良の才能を買っていて、芸能界から干されそうになった彼へラスベガスへの留学を勧める
英明の父。父である龍五郎がマジシャンだったせいで苦労したことを恨む。海外から一時帰国中に良と出会い、父とのいい想い出を思い出す
英明の母。英明と同様、義父の龍五郎にはいい印象しかない
製品名 | ファンタジウム(1) |
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著者 | |
発売日 | 2007年06月22日 |
初出 | 『モーニング2』’06年1号~2号、’07年3号 |