著
山下 和美
その村では、人は必ず50歳で死を迎える。
村人を縛るしきたり、
「あの世」と呼ばれる山の向こう。
双子の姉を生け贄に
捧げられた少女・杏。
獣の皮をかぶった役人達が取り仕切る
「この世」と呼ばれる村で
神に見守られて暮らす人々。
そして、不思議な山の民。
杏が見つめる先には
希望も絶望もある。
この物語で描くのは
山下和美が抱く、
日本という国への
不安。
『天才 柳沢教授の生活』『不思議な少年』で人間を見つめ続けてきた山下和美が挑む新境地。この閉ざされた村が舞台の物語で描き出そうとするのは、人間社会の恐ろしさと生きることへの希望。NHK『浦沢直樹の漫勉』での”産みの苦しみ”の姿も話題を呼んだ本作は、著者自らも「はじめての挑戦」という意欲作です。
好奇心旺盛な「この世」に暮らす少女。父からの手紙を読みたい一心で文字を学び、周囲の子どもたちにも文字を教える。和音により一目を置かれる存在に
杏の双子の姉。生まれてすぐ凶相であると父に捨てられ、銀次に育てられた。杏たちに処刑場から救われた後、「あの世」に行き平穏に暮らしていたが…
「あの世」と「この世」を自由に行き来できる。杏に文字を教え、アンを「あの世」に連れて行く。容姿がずっと変わらないが、足に異変が出ている
ランド株式会社の創設者で和音の双子の兄弟。「この世」と「あの世」を壊そうとしている
杏の幼馴染み。権力を持ちたいと思っていたが、杏から文字を教えてもらい、少しずつ「世界」を知っていく。幼いころ子捨ての役を経験している
「この世」を統治する名主で、天音と前名主あやめの娘。捨吉に対してい、ほのかな恋心を抱いている
杏とアンの父。かつては子捨てなど生贄を捧げる仕事をしていた。アンに刺され死んだと思われたが、生きていて蓮華に仕えていた
「あの世」で普通に暮らす一般人で純の父親。ランド株式会社に勤務している。「あの世」に疑いを持ち始める
「あの世」で暮らすアンの高校のクラスメート。アンに片思いをしている。父の淳と同様「あの世」に疑いを持ち始める
山に住む男。しきたりによって「この世」から捨てられた子供を育てている。「あの世」にいたようで、文字を知っている
平太の父。50歳で必ず死を迎える「知命」で亡くなったが、「あの世」で働くことに。体調があまりよくない
知命後の世界で、平次と行動をともにする男。自分たちが死んではいないのでは疑い、平次とともに廃棄された飛行機を修理しようとする
捨吉の妹で、杏とアンの叔母。真面目な性格だったが処刑されかけたことにより、心が壊れてしまった。杏と二人で暮らしている
製品名 | ランド(1) |
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著者 | |
発売日 | 2015年04月23日 |
初出 | 『モーニング』2014年15号、21・22合併号、23号、30号、34号、39号、47号、51号、2015年4・5合併号、9号 |