著
岩永 亮太郎
停戦から3年。永きにわたる共和国との戦争は、帝国に深い傷跡を残した。飢餓・疫病・兵隊の野盗化…。それは“戦災”という名の、もう一つの戦争だった。これを憂慮した帝国陸軍は情報部内に第3課を設立し、戦災復興任務に当たらせた。その実、軍部の予算獲得のための方便であり、臣民の不満を抑制する“言い訳”でしかない彼ら。だが、社会を覆う欺瞞のブ厚い皮を切り裂き、内部の腐敗を暴くことを真に実践する彼らは、自らを『パンプキン・シザーズ』と呼び、任務達成に向けて今日も邁進する!
帝国を待つ“国家の死”──それは確定された未来であり、『第1の大剣』による本会議場への突入作戦などは、遅きに失した無益な殺し合いであるかに見えた。だが、情報部には諦めの悪い者が多い。彼らが並外れた意志をもって帝国の延命を狙うとき、殺し合いはそれ自体が意味を持つに至った。人質を“命の選別”にかける銃撃、敵うべくもない陸上戦艦への攻撃、陥穽に友邦の大使をはめる舌戦…。死に瀕した国家を救う苦闘が始まる!
※
陸情3課通称パンプキン・シザーズの小隊長。貴族令嬢でありながら、気高くひたむきな心根の持ち主。戦災復興に邁進する
陸情3課隊員。全身に無数の疵を刻印された巨漢の復員兵。戦時中、公式には存在しない部隊『901ATT』に所属していた
”懲罰房からの脱獄魔”の異名をとる、陸情3課の問題隊員。お気楽で斜に構えているが、意外と根は真面目
なにかと問題の多い陸情3課の中で、唯一の常識派。制止役の多い苦労人。同僚のオレルドとはいいコンビ
陸情3課課長。閑職に甘んじる昼行灯といった趣の人物だが、広範囲に顔が利き、実はかなりの切れ者
実働部隊を本部で支える陸情3課の事務要員。およそ軍人には見えない女の子で、空回りしがちなドジっ娘
れっきとした陸情3課の隊員で、上等伝令兵待遇の軍用犬。オス。愛嬌あるトボケ顔だが、精力絶倫…
陸情1課課長。国家公安の頂点組織たる1課を預かり心血を注ぐ、冷徹な人物。ハンクスとは旧来の縁があり、個人的な情報交換を行うことも
情報部技術班主任。長身で、姉御肌の技術屋。部内では珍しく3課に同情的だが、頻繁に車輛を壊され血圧が高い
陸情2課課長。独特の感性と世界観を持つ女傑。ケルビムの下で、対外情報任務を行っている
陸軍情報部部長。国政における情報部の権限拡大を図る。顔の火傷の痕は、表情を読めなくするため自ら薬で焼いた
製品名 | Pumpkin Scissors(23) |
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著者 | |
発売日 | 2019年11月15日 |
初出 | 『月刊少年マガジン』2018年8月号~11月号・2019年2月号~9月号 |