IP活用の可能性を広げる挑戦! 講談社初のTVアニメ・オリジナルIP『ぽんのみち』

マンガ家さんに原案の一部の協力を依頼し、オリジナルのIPを生み出すという新しい試みで誕生した、講談社初のオリジナルTVアニメ『ぽんのみち』。出版社だからできる新しい可能性について本作のプロデューサーが語ります。

©IIS-P/ぽんのみち製作委員会

スピーディな監修とマンガ家さんの負担軽減、オリジナルIPづくりがもたらすメリット

「やりたいことはたくさんある。でも、連載の原稿に手いっぱいで、とてもじゃないが、手が回らないんだ」

とあるマンガ家さんからこんな話を聞いたのは、2018年ころのことでした。 とはいえ、なんとか忙しい合間を縫って、新しいIP作りに協力いただけないだろうか? そしてマンガ編集者の仲間たちとともに考えついたのが、マンガ家さんには全体の一部、たとえば〝原案〞などを手伝っていただくことにして、こちらでオリジナルIPを生み出すということでした。原作がすでに存在していると、IP活用の際に監修をはじめとした工程が広告主様や原作者さんに負担がかかることもしばしばあります。そういったことを回避し、講談社の中で完結できるようになれば、双方にメリットのある環境が築けるという考えもありました。

作品づくりには、普段のお付き合いの中から、多忙なマンガ家さんにお願いできそうな部分を探していく。これは、日々の業務を通じてマンガ家さんとの〝距離〞が近い出版社ならではのオリジナルIPの作り方だと思います。そんな構想から始まり結実したのが、2024年1月からTV放映開始となったアニメ『ぽんのみち』です。本作は講談社発「オリジナルテレビアニメーション原作」の第1弾で、『五等分の花嫁』『戦隊大失格』の原作者である春場ねぎ先生がいちばん本作に合うという結論に達し、キャラクター原案を依頼させていただきました。

キャラクター原案は人気マンガ家の春場ねぎ氏
アニメ放送開始前から大きな話題となった

春場先生は、大変お忙しい中でしたがキャラクターデザインの仕事に興味があるということもあって引き受けていただけました。原案以降のデザインはすべてお任せいただいたのですが、最初のPVが発表されたときに先生が「春場ねぎの絵だ」とSNSで投稿してくださり安心したのを覚えています。

リアリティを追求した作品づくり

アニメの舞台は、広島県の尾道で、主人公達が時々麻雀をやるという日常系アニメとなっています。作品としては"箱庭型の日常アニメに麻雀をプラスした"という内容で、特殊能力や勝敗にこだわる話にする予定は最初からなく、「ただ何かをしているのが楽しい」という雰囲気を出すために、その「何か」に麻雀を加えました。

"聖地"となった尾道では街の各所に展示物が飾られている
アニメファンは作品内で登場した場所に訪れて写真を撮影しSNSに投稿するなど発信量も増加中

実在の全自動雀卓もメーカー協力のもとに作中に登場している

実在の土地を舞台にしていることから、リアリティをさらに出すために人気アプリゲームの「雀魂-じゃんたま-(株式会社Yostar)」様や、作中に出てくる全自動雀卓は「大洋技研株式会社」様のご協力をいただいています。アニメの舞台としてなぜ尾道を選んだかといえば、作品の性質上、日常の風景がアニメ映えする場所を探していたところに企画メンバーから尾道を推したいという声があり、実際に現地におもむいたところ、街並みが絵になり、海も山も近く絵作りがしやすいと感じ、映える要素も多いことから決定しました。
地元の方へは、ロケハンをしながらご説明したのですが、こころよく受け入れていただくことができました。しかも、商店街や市役所が自主的に等身大パネルを置くなどして応援してくださっており、感謝しています。尾道市長に、主人公・なしこ役の前田佳織里さんと一緒に講談社を訪問していただくという企画まで実現することができました。

また、放送前から、コミカライズも進むことになりました。まず、少女誌「なかよし」で2023年10月号から連載をスタートし、さらにアニメ放映に合わせて青年誌「ヤングマガジン」でも連載開始。アニメ放映が始まった時点で、2媒体でコミカライズという珍しい仕掛けになっています。昨年8月に「なかよし」での連載を発表した際には、「なぜ少女誌で麻雀マンガ?」と話題を呼び、放映開始前よりメディア各社様からさまざまな取材を受けました。

オリジナルTVアニメ「ぽんのみち」第2弾PV
YouTube|『ぽんのみち』オリジナルTVアニメ公式チャンネルより

商品化をはじめとしたIP活用も進行中!

まだまだ実験的な側面もありますが、たしかな手応えも感じています。講談社オリジナルIPにしたことでマンガ家さんの「監修」がなくなり、実写化・アニメ化・グッズ展開へのスピードがアップし、なによりマンガ家さんの負担を減らす方向で進行できるようになってきています。
現在、ありがたいことに商品化やアミューズメント施設とのコラボレーションなどのお話も進行中です。二次利用のご相談は大歓迎ですので、いつでもお気軽にお問い合わせください! 現在、ほかにも人気マンガ家協力のもとで講談社オリジナルIP作品を発信していく企画は進行中ですので、続報もあわせてお待ちいただけたら幸いです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本記事の語り手
TVアニメ『ぽんのみち』プロデューサー
講談社ライツ・メディアビジネス本部アニメ・ゲーム事業部
立石 謙介


TVアニメ『ぽんのみち』作品詳細
【放送情報】
2024年1月5日(金)より放送開始!
MBS・TBS:1月5日(金)より毎週金曜日25時53分~
BS-TBS:1月5日(金)より毎週金曜日26時30分~
RCC:1月9日(火)より毎週火曜日25時55分~※初回1月9日(火)は26時5分~
AT-X:1月9日(火)より毎週火曜日22時00分~
(リピート放送:毎週木曜日10時00分~、毎週月曜日16時00~)

【スタッフ】
原作:IIS-P
監督・脚本:南川達馬
キャラクター原案:春場ねぎ
キャラクターデザイン:大田謙治
色彩設計:角野江美
美術監督:Scott MacDonald
撮影監督:天田 雅
編集:木村祥明
音響監督:高橋 剛
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽 :髙橋祐子、曽木琢磨、hisakuni、大橋莉子、江口寛至、シャリ
音楽制作:SUPA LOVE
制作協力:雀魂-じゃんたま-、大洋技研株式会社
アニメーション制作:OLM

【キャスト】
十返舎なしこ:前田佳織里
河東ぱい:佐伯伊織
徳富 泉:若山詩音
林リーチェ:近藤 唯
江見 跳:山村 響
チョンボ:大塚明夫

【主題歌情報】
オープニングテーマ:中田花奈 feat. ぽんのみちオールスターズ『ポンポポポン』
エンディングテーマ:halca『Good Luck Waker』

アニメ公式サイトはこちら
公式X(旧:Twitter)アカウントはこちら

キーワード検索

キーワード検索

絞り込み検索